AO入試体験談①
城谷 実怜(総合政策学部OB)
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出身高校
渋谷教育学園幕張高等学校出身(2017年度合格) -
高校での成績
平成27年、28年インターハイ出場
平成28年全国選抜5位
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AO入試を考える高校生に一言
自分の可能性を諦めないでください。「SFCでこれを研究したい。」
「SFCに入学したい。」という熱意が一番大切だと思うので、ぜひその思い
を全力で伝え、自分の良さを出してほしいと思います。

私が慶應義塾大学を受験しようと思ったきっかけは、同じ高校の空手部の先輩と顧問の先生の紹介でした。大学に進学することは決めていましたが、将来やりたいことも大学で勉強したいこと特に決まっておらず、途方に暮れている時でした。そんな時に同じ高校の空手部を卒業され、当時慶應空手部に所属されていた先輩に慶應義塾大学の受験を勧められました。当時はSFCの存在も慶應大学にAO入試という制度があることさえ知りませんでした。先輩からSFCの雰囲気や学習内容、また慶應体育会空手部のお話をしていただき、この環境なら空手に全力を注ぎながら、自分のやりたいことも見つけられると確信し、受験を決意しました。
私のAO入試の準備は、テーマ決めから始まりました。物事に深く関心を持たない私にとって、テーマ決めはとても難題となりました。まずテーマ決めのために、自分が何をすることが好きなのか、何に興味があるのかをノートに書き出してみました。私は何かに困ると必ず書き出して、自分の頭の中を整理していましたが、後から考えてみると、これが論文を書くことに活かされたと思います。実際に書き出してみると、自分は心理的なもの、メンタルマネジメントに興味があることが分かりました。これは空手を7歳から始め、中学生で本気で勝利を目指した時から、自分自身のメンタルの弱さに触れたことが大きく関わっています。「どうやったら練習通りのパフォーマンスが本番で発揮できるのだろう」とこれまでの空手人生の中で悩んで、いくつものメンタル関係の本を読み漁っていました。そういった過去の出来事も思い出し、「私の興味のあるものはこれだ!」と確信しました。しかし、メンタルの研究をすることに対しいくつかの不安が募りました。それは、メンタルという不安定なものを私が研究できるのだろうかということでした。これまでメンタル関係の本を読んで来て、メンタルはとても曖昧で、研究は難しいとされていることを知っていたからです。何度もテーマを変えようか迷いましたが、自分のやりたいことに正直に取り組めて、空手という自分の経験をアピールできるものはこれしかないと思い、テーマをメンタルマネジメントに決めました。
テーマは決まったものの、ここからが本当に大変でした。なぜメンタルマネジメントを研究したいかは自分の経験と共に書き上げることができましたが、メンタルマネジメントの何を研究したいのか、そしてそれを将来の何に繋げたいのか、そしてなぜSFCでなければならないのかという問いに悪戦苦闘しました。現在メンタルトレーニングについてはある程度分かっていて、本も沢山出版されています。このままの私のテーマでは、既に分かっていることを研究することになってしまいます。そこでメンタルトレーニングが身近のものではないということに注目しました。これまで空手をしてきて、心・技・体を基本に習ってきたはずですが、具体的にどんなことを行なえばメンタルが強くなるのかということを指導されてきていませんでした。具体的な指導があれば、もっと自然に「強い心」が身につく方法がないだろうか。このような思いから、将来スポーツを教える中で、技術とメンタルを融合させたコーチングを行なっていきたい、そしてそのためにSFCでコーチングと心理学を研究したいと思いました。
テーマの内容が決まると、早速自分のテーマに関係する本をできるだけ多く読みました。SFCでの研究会の様子がより分かるので、自分の興味のある研究会の教授が出版した本を読むことをおすすめします。そして何度も何度も書き直すことでより深い論文になるので、沢山の人に様々な視点から見てもらうことが大切だと思います。私は少なくとも10回以上は書き直しました。志望理由書以外にも、自由記述、その他諸々の資料作成があるので、早めの行動が合格のカギになると思います。
そして論文提出が終わると、すぐに2次対策の準備に取りかかりました。1次試験の合格分かってから2次試験の面接までたったの1週間しかないからです。まずは自分の志望理由書を暗記するまで読み、どんな質問がきてもしっかり対応できるように、質問とその応答を考えました。また、父親や学校の先生に協力していただき、面接練習を満足できるまで練習しました。そして自分が1次試験に通ったと分かると、「絶対にこのチャンスを逃さない」という思いで、完璧だと思えるまで面接練習を行いました。2次試験当日、不安と少しの自信と共に面接に臨みました。面接は面接官3人対1で個室で行なわれました。質問はまず志望理由から始まり、その内容に関して、そして学校生活について、、、と事前に考えていた質問で、スムーズに答えられました。私の場合、やや圧迫面接でしたが、詰まった時も自分自身の言葉で笑顔を忘れずに答えられたことが合格に繋がったのではないかと思います。
最後に私がこれからAO受験を考えている皆さんに伝えたいことは、このAO入試に取り組むことは必ず今後に活きるということです。振り返ってみると、こんなにも自分の将来のことややりたいことについて真剣に考えたことは初めてだったと思います。2000字という一見簡単に書けそうにみえる志望理由書ですが、それにどれだけの熱意を込めて、より分かりやすく、よりインパクトがある文章に仕上げられるかということが、自分が思っていたよりもずっと難しく、自分の視野が広がりました。何度も書き直す度に、「本当にこれで大丈夫だろうか?」「テーマを変えた方が良いのではないか?」「自分は一体何をしたいのか?」と心が折れそうになりました。それでも悩みながらも諦めずに完成させたことは、とても自分自身にとって良い経験になりました。このような経験はそうないので受験してみる価値は十分にあると思います。
受験生の皆さんへ
10月15日は慶應義塾空手の日
(創部および体育会承認記念日)
慶應義塾體育會空手部100周年
2024年10月15日